2025年夏に発売されたピラストロ社の新製品、エヴァピラッツィ・ネオ(Evah Pirazzi NEO)ヴァイオリン用弦のファーストインプレッションです。
もともとあったエヴァピラッツィ(以下オリジナルと表記します)は大音量と深く豊かな音色、優れたコントロール性があり、主にソリスト志向のプレイヤーに好まれていました。
やや硬い音色を持っていることと、その弦のソリスト向けなキャラクターの強さから悪口を言われたり、テンションが強いことからオールド楽器を痛めたりすると言われたりやや不憫な扱いも受ける弦ですが(自分も以前当ブログでそういった記述をしています)使用者も非常に多くやはり唯一無二の存在感がある弦であると思います。
今回新たに発売されたエヴァピラッツィ・ネオ(以下NEOと表記)はソリストのジャニーヌ・ヤンセン氏の協力のもと開発された弦だそうです。
今回は張ってみてちょうど3週間くらい毎日弾いてみて感じた事やオリジナルとの比較を少ししてみます。
仕様

NEOのパッケージはなんとなくジャニーヌ・ヤンセンさんのお顔に寄せてるような雰囲気です。
参考までにジャニーヌ・ヤンセンさんのCDです。
オランダ出身のヴァイオリニストで綺麗な方ですが女性としてはかなり大柄で力強い演奏をされます。
各弦のテンション
E – 8.4 kg – Goldsteel 0.268
A – 5.6 kg
D – 4.8 kg
G – 4.7 kg
ちなみにオリジナルは
E – 8.6 kg – Goldsteel 0.27
A – 5.6 kg
D – 4.8 kg
G – 4.9 kg
数値で言うとGがややNEOのほうがテンション弱めです。Eはゲージが違いますが、標準ゲージが0.268なので標準のゲージだとNEOのほうが両端の弦が少し弱めになっています。
弾いてみた感想
まず張ってみて弾いた瞬間からノイズやきつさのなさを感じられました。
オリジナルは弦のサウンドとして少しザラザラしたノイズが乗っていて、それも遠鳴りの一要素として大事なのですが、このノイズがやや気になる場面があることも確かです。
NEOはまずノイズがありません。
またオリジナルは発音が鋭くなりやすくやや神経を使う場面があるのですがNEOはいい意味で角が取れた感じがします。
音量はしっかりあるので問題ないです。
オリジナルで優秀だったヴィブラートや圧力に対して音色が豊かに変化する点は健在でしっかりとソロのレパートリーにも対応できます。
パワーが有るのにうるさい感じがしない、ノイズが無い、音色の豊かさと反応の良さはしっかり保ってる、と感じました。
またオリジナルより弦を押さえたときに少し指に優しい感じというか柔らかい感じがします。
これはテンションが弱めなG、E線は顕著ですがD、A線もなんとなく柔らかい感じがします。
とにかくオリジナルを弾いてるときのなんとなく頑張って弾かないといけない感じがほとんどありません。
ただ本当に音量やあとほんの一歩音の抜けがほしい場合、弦にパワーの面で助けてほしい場合はオリジナルのほうが良いかもしれません。なんとなくそんな感じがします。
ソロだけでなくオケやアンサンブルの活動もする人はNEOは良いと思います。
音大生やコンテスタントの方はオリジナルも捨てがたいと思います。

実はテールピース側の巻線の色がやや違います。↑こちらはNEO

こちらはオリジナル なんとなくNEOは青っぽいというか色が濃い?オリジナルは緑っぽく見えます
まとめ
オリジナルの良いところを残しながらいい感じに変化をつけてる弦だと思いました。
柔らかさや優しいニュアンスが出しやすく、かといって弱い弦では全然なくしっかりエヴァピラッツィ感はあるのでオリジナルが好きだけどちょっと強すぎるかな、と思ってる方には合うかなと思います。
値段は高めですがハイスペックなので納得感はあるかな…
値段順にはエヴァピラッツィゴールド>エヴァピラッツィ・ネオ>エヴァピラッツィになります。ゴールドが一番高く、値段差も大きいです。無印とネオは実売価格ではそこまで開きはありません。
「エヴァピラッツィ・ネオのファーストインプレッション/エヴァピラッツィ無印との比較」でした。