KemperのRIGにはアンプシミュレーター、エフェクトが入っていますが、アンプとキャビネットを別々に設定することが出来ます。
例えば、Marshall JCM2000のRIGをDLして使うと通常1960キャビがセットになっていますが、そのキャビの部分をMESA BOOGIEやBognerに替えたりという事が出来、音色の変化を楽しめます。
それと、ダイレクトプロファイリングしたRIGにはキャビシミュが入っていないため、別々に用意する必要があります。こちらも他のRIGから持ってくることが可能。
なのですが、キャビシミュの部分をIR(Impulse Response)に変えるとよりリアルなサウンドになります。
IRとは
略してIRとも呼ばれる。1発だけの幅の無いパルス(インパルス)に対する反応の事。音の信号とコンボリューション演算を行う事により、残響効果エフェクトであるリバーブを発生するコンボリューションリバーブで使われる。
ホールなどで実際にこのインパルスレスポンスを測定してデータを取っておけば、エフェクターにデータを読み込ませる事により、そのホールと同じ残響を再現する事ができる。
引用:偏ったDTM用語辞典
もともとDTMでリバーブ等に使われていた技術ですが、最近のプラグインアンプシミュレーター等でギター用に使われ始め、最近のハードアンシミュ(HELIX、AXE、Kemper等)には個別で取り込めるようになっています。
従来のキャビネットシミュレーターより実物に近い質感の音を作ることが出来ます。従来のものはデジタルでキャビの雰囲気を再現していますが、IRは本物のキャビの特性をまんま使えるので、非常にリアル、というか、そのもの?の音を作ることが出来ます。
使い方
有料、フリーどちらもありますが、とりあえず今回はフリーのものを紹介。フリーでも結構クオリティ高いです。
Marshall 1960AキャビのIR
→メールアドレスをと名前を入力し送信。メールが来るのでそこからDL
Mesa Boogie 412キャビのIR
OwnHammer配布終了
→メールアドレス、名前、住所などを入れてカートに入れる。購入手続きが必要だが無料なので安心してください。
膨大な量のファイルがありますが、Kemperで使えるサンプリングレートは44.1kHzなので、44.1kHzのフォルダから選んでください。マイクは57、421、121から選ぶのが無難。というか、全部試すとキリがない
IR自体はWAVファイルですが、Kemperではそのまま取り込めないので、公式のCab Makerというアプリを使います。
https://www.kemper-amps.com/downloads/11/Utilities
Mac、Windows両方で使えます。
まずWAVのIRをKemperでフォーマットしたUSBメモリのSharedというフォルダにコピー、それからCab Makerからファイルを読み込み、変換するとKemper用のファイルに出来ます。
それでKemperにUSBメモリを差しインポート。インポートできたらRIGのCabinetを押し、From RigsからPresetsに切り替わると先程インポートしたIRが使えます。
名前が長いとKemper側で表示が途切れるため、面倒ですが一個一個短く分かりやすい名前に変更しておくと良いです。
音比較
実際に音を聴き比べて見ましょう。RIGのデフォルト→IRの順。キャビ以外は何も変えず、DAW上でも一切いじっていません。
まず名機MESA BOOGIE TriaxisのRIG。
デフォルト
IR(OwnHammer MESA 412 V60 57-01)
どうでしょうか、IRの方がクリアでエッジ感がリアルで、抜けが良いような印象を受けると思います。
今度はリードで比べてみましょう。
デフォルト
IR(OwnHammer MESA 412 V60 57-01)
やはりIRの方がクリアで一皮むけたようなリアル感があると思います。デフォルトも悪くはないが、比べるとちょっと作り物っぽい感じがしてしまいます。
今度はMarshall 1959のRIGを使ってみます。
デフォルト
IR(RedWires 1960A SM57 Cap0in)
デフォルトも骨太な感じで良いのですが、IRの方がレンジが広く、ハイの感じがよりMarshallらしい感じです。
こちらもリードを聴いてみましょう。
デフォルト
IR(RedWires 1960A SM57 Cap0in)
IRの方が良い意味でオールドMarshallの線の細いクランチサウンドが出ているのでは無いでしょうか?レンジもIRの方が気持ち広い感じ。
まとめ
IRを使ってみることで簡単に一皮むけたリアルなサウンドになるので、Kemperをお持ちの方は是非試してみてください。
また、今回は2種類のIRしか試していませんが、フリーのパックの中にも膨大な種類のIRが入っているので、一個一個試してみて好みのサウンドを探すのも良いでしょう。
マイクによっても傾向が違いますし、スピーカーのどの部分を録っているかでも大分違います。逆に言うと、それだけピンポイントな所の再現性に優れているとも言えるでしょう。
今回はフリーのIRを使用してみましたが、有料の物でクオリティが非常に高いものも沢山あるので、購入してみるのも良いかもしれません。ViViXさんのDIRTYROOM SOUNDS OF ECHO CAB PACK Vol.2 なんか非常に良さそうなので、自分でも買ってみようかな~と思ってます。少々値段しますが…
そんな感じで、今回はKemperでのIRを使ってみようという記事でした。
(Kemperの記事が増えてきたので、個別にカテゴリを作りました。)