こんにちは、Yuukiです。
何度か別の記事でも触れていますが、2021年1月末に新しいヴァイオリンを購入しました。
イタリア、クレモナのRaffaello Di Biagioさんの2015年作の楽器です。
Raffaello Di Biagio 2015
購入したきっかけ
今までメインで使っていた楽器は作者不明、おそらくドイツかチェコか、ハンガリーかの古い楽器で、サブにドイツの新作楽器を使っていました。
メインの楽器はやや音量が小さい気もしていましたが割と遠鳴り感あり、音色も柔らかく特に不満は無かったです。
一方サブ楽器の方は色々と不満があり、またメインの方もやはり古い楽器なのでコンディションが安定しなかったりと色々あったので、メインで演奏に使える丈夫な楽器を購入しようかなと思ったのが去年末〜今年始めあたりです。
選ぶ条件
まず条件としては、
・イタリア製の新作
・フルバーニッシュで黄色よりは濃いオレンジ〜赤め
・知名度がある作家のもの
・音が太く大きい
辺りでした。
イタリア製の新作
まずイタリア製の新作という所ですが、日本やドイツ、フランス製の新作楽器も良いものは沢山ありますし音や作りも国では変わらない、というのはあるのですが、やはり将来的な価値、持っていて満足度を感じられるか、ブランド力、など色々考えてやはりイタリアかなと言う所でした。
自分は結構ブランド好きな所があるので作られた国で不満を持つのは嫌だったのでまあイタリアだろうという感じですね。
モダンイタリーは予算の都合上中々難しい所があるのと、あまり音の印象が良くないものが多いので今回は新作に絞ることに。
フルバーニッシュ
次にニスがフルバーニッシュという所ですが今までのドイツのサブ楽器がアンティークフィニッシュでなんとなく微妙な感じがしており、メインで使っている楽器は普通に古くオールド感あり、ならば一台はピカピカのフルバーニッシュが良いだろうという感じです。
あまり黄色が強い色のものは好きでないのでできればオレンジ〜赤めが良いなと思いました。まあ以前持っていたSomenziもそんな感じでしたね。
知名度がある作家のもの
知名度がある作家さんが良いというのは最初のイタリア製〜という所と同じような感じで、今後の価値や自分での満足度という所です。
あまり売れっ子すぎると値段が上がってしまうので難しいところではありましたが、知名度がある作家さんで、かつ若手または工房製でなくしっかりしたマエストロ製が買える予算を組んで検討することにしました。
音が太く大きい
音に関してはやはり健康的な音量が出ていないとまずいだろうというところ、あと自分は太くまろやかな音が好きなのでそういう感じの音がするものが上の条件の中であれば一番良いかなと思いました。
ただ音に関しては弦やフィッティング、また新作だと弾き込みで簡単に変わってしまうのであまり音だけで選ばないようにしました。あと自分が弾くとよほど変なものでない限り大体自分の音になるという所もあります。
実際に選んでみる
という感じで条件と予算を伝えてお世話になっている千駄ヶ谷のIL VIOLINO MAGICOさんで選ばせてもらうことにしました。
イタリアの新作が大量に入荷したタイミングだったそうで、かなりの数から選ばせてもらえました。
まずずらっと何台か出してもらい、気に入ったのを残して気に入らない楽器を下げてもらい、また何台か追加してもらいその中から気に入ったものを…というのを繰り返したのですが中々しっくり来るものが無く。
どうしようかな〜と思っていたのですが、以前からお店で見せてもらったりHPで見たりして気になっていたRaffaello Di Biagioさんの楽器はそういえばありませんか?とお聞きした所、完璧に出来たての新作では無いのですが、と言う事で出してもらった楽器が一発で気に入ってしまいました。
最初の印象はとにかく音が大きいということです。以前試奏したファニョーラに近い大音量と音質の感じ、また他に試させてもらった楽器より音の上質感が2段階くらい上に感じました。まあ2015年製でワンオーナーのものだったのである程度弾き込まれていたようだったのですがとにかく一番印象が良かったです。
ただ音量に関してはエヴァピラッツィが張ってあったのでもしかしたら弦の影響かな?とも思いフラットな目線で見ることにしました。
まず新作、これはまあ2015年製なので新品では無いものの新作の範疇に入るでしょう。国はもちろんイタリアです。
ニスはフルバーニッシュで、赤というよりは若干黄色がかったオレンジでしたが好みの範疇からは外れずに良い感じ。とにかくRaffaelloさんの楽器は美しいニスで評判ですが評判に違わず素晴らしいビロードのようなニスです。これも問題無し。
知名度の面も問題なし。国内外で評価されている作家さんですし作り、音ともに世界的に評価されている作家さんなので全く問題ないでしょう。世界のソリストのサブ楽器としても良く使われているそう。
音の面でも完全に求めていたのと一致という感じです。音量は大きいですし、音の太さもかなりのもので、ヴィブラートをかけたときの太く広がる感じは素晴らしく、また低音から高音にかけてとにかく芯があり太い音です。
とまあ完全に探していたものと一致したのですが、問題は予算で若干というか割とオーバーしてしまっていました。まあこれはなんとかするしか無いと思い、一旦一晩お借りして、問題が無さそうだったので購入することにしました。
という感じで、無事に条件とぴったりの良い楽器を購入することができました!
外観
まず外観です。
ストラディヴァリ1715年モデルです。
なんといってもビロードのような美しいニスがまず目に入ります。これはRaffaelloさんの専売特許でとにかく美しいニスの作家としてはまず挙げられる方なのではないでしょうか。
造りも柔らかさがありながらもシャープな所はしっかりシャープで造形の美しさも素晴らしいです。
アーチが割と特徴あり、ハイアーチまでいかないもののミディアムアーチで立体感豊かな印象です。現代の楽器は割と真っ平らなアーチの楽器が多いですが展示会などでストラディヴァリ、アマティなどを見ると割と思ったよりアーチが深い事が多いですがそう言ったオールド銘器に近いアーチ感です。
また表板は非常に良い材を使っているようでマスキアート(ハーゼ、ベアクローとも)が凄まじいです。これはS・モラッシーさんやロレンツォ・カッシさんの楽器でも良く見ますが本当に良い材を使っている様ですね。ヴァル・ディ・フィエンメ アベーテ・ロッソというブランド材のようです。
裏板は非常に美しい杢目が目立つ柾目の一枚板。今まで実は一枚板の楽器って所有したこと無かったので密かに憧れていたのですが、たまたま気に入った楽器が理想の一枚板で本当に嬉しいです。
とにかく本当に美しい楽器という印象です。弾かないで見ていても楽しめる楽器ですね。
2週間使ってみて
購入して2週間色々弾いたりパーツを変えてみたりしました。
まず弦はエヴァピラッツィが最初張ってありましたが新作にエヴァピラッツィの音はあまり好きでは無いのでまず使い古しのドミナントに。やはりドミナントでも音量は大きいままでまあ一安心。
しかしドミナントだと追い込んだときの鳴りが若干足りない感じがあったので、ペーターインフェルドに変えてみた所かなり好きな傾向に。
まだ色々試してみないとベストな弦は分からないのですが、あまりパワーが無い弦だと鳴りがいまいち、しかし強すぎる弦だとうるさくなってしまうので、ペーターインフェルドくらいの強さの弦が限界かなという所です。
E線は最初ピラストロゴールドのミディアムを張っていましたが、割と強い弦でも大丈夫そうなのでワーシャル・ブリリアントを今張っています。
GDAはヴィジョン・ソロとドミナント・プロを今後試してみようと思っています。
フィッティングはボガーロ&クレメンテのブラックウッドと思わしきものが付いており、ブラックウッドの匂いがあまり好みではないので一旦あご当てとテールピースはツゲに変えましたがやはりしばらくはデフォルトの物を使ってみようと思い、もとのブラックウッドに戻しました。音もブラックウッドの方が柔らかく落ち着いているかもしれません。
音に関してはやはり芯のある太く柔らかい音、明るいか暗いかと言うと明るい感じの音です。
明るいと言ってもキンキンしたやかましい音ではなく太さがしっかりあるので開放的な感じですね。
まとめ
作られてから5年経っているとはいえまだ落ち着いていない感じで、ニスもまだ乾燥しきっておらず扱いにやや気を使う面はあります。
音もその日の練習の際数十分弾き込まないと鳴り始めない所がありますが、これからどんな感じに鳴ってくれるか非常に楽しみです。
とにかく欲しかった条件に完全に合う楽器が見つかって非常に良かったです。これからこの楽器を使って演奏頑張っていきたいと思っています。
それでは、「Raffaello Di Biagio 2015 Violin」でした。