こんにちは、Yuukiです。
今回は特別な企画、なんと東京の有名弦楽器専門店、”IL VIOLINO MAGICO”様にご承諾を頂き、素晴らしいヴァイオリンを見せて頂いて撮影と録音までさせて頂きました!
今回ご協力頂いたIL VIOLINO MAGICO様、スタッフの皆様、対応していただいた鈴木店長、本当にありがとうございました!
さて、今回の記事の流れとしては、お店の紹介、見せて頂いた楽器の写真と解説、その楽器を作った製作家の紹介、さらにそれぞれの楽器でワンフレーズ音源と、とても豪華盛り沢山な記事になります。
是非お楽しみ下さい!
弦楽器専門店 IL VIOLINO MAGICO
まず、今回ご協力頂いた弦楽器専門店、IL VIOLINO MAGICO様の紹介からさせていただこうかと思います。
東京都渋谷区 JR千駄ヶ谷駅から徒歩5分ほど、新宿御苑の目の前の閑静な土地に店舗を構え、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、それぞれの楽器の弓の販売を行っている弦楽器専門店です。
また修理工房を店舗内に構え、購入後のアフターサポートから難しい楽器の修理から毛替えなど、演奏家の万全のサポートを行ってます。
イタリア・クレモナの製作家との繋がりも深く、クレモナヴァイオリン製作者協会の正規代理店となっています。
取り扱っている楽器はお求めやすい初心者セットから世界的ソリストやコレクターが所有するような非常に骨董価値が高いオールド楽器まで、非常に幅の広いラインナップとなっています。
工房の技術力の高さも有名で、国内外のプロ演奏家も数多くリピーターになっている様子。
なんと国内の工房で唯一、最高級馬毛「LUCCHI Special 960」というイタリアの馬毛で毛替えを行うことが出来ます。
自分も楽器から弓まで、MAGICO工房様にお世話になっています。
また、同店舗2階にMAGICO音楽教室を併設、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのレッスンを行っています。
2021年10月現在は短縮営業中、予約制となっています。詳しくは店舗HPからメールまたはお電話でお問い合わせお願いします。
銘器のご紹介
さて、早速ですが、今回ご紹介する楽器はこちらです。
今回ご用意していただいた楽器は3台、全てイタリア製でそれぞれ年代が大きく異るものをご用意頂きました。
一番新しいもので2010年代、真ん中のものが1900年代、一番古いものが1790年代となります。
見てるだけで笑顔になりそうな感じの光景ですが、今回は沢山写真と音もご用意していますので是非お楽しみ頂ければと思います。
どの楽器も非常に評価が高く有名な作品たちです。
Raffaello Di Biagio 2019
まず右端の一本目、「Raffaello Di Biagio 2019」です。
まず、製作家のRaffaello Di Biagioさんの説明から。IL VIOLINO MAGICO 鈴木店長にご説明を頂いた内容です。
- Raffaello Di Biagio(ラファエロ・ディビアッジョ)さんは1972年生まれのクレモナの製作家で、現在年齢的にも実績的にもイタリアの中堅クラスの中でもトップランクに位置するメーカー
- 誰もが知る巨匠Stefano Conia(ステファノ・コニア)のもとで修行し、その後独立。
- ニスの仕上げが非常に美しいことから知られており、ニスを通常より多く塗り重ね、さらに非常に細かい目の磨きを掛け、ガラスコーティングしたような艶が特徴。
- この楽器はストラディヴァリモデルだが、グァルネリ・デル・ジェスモデルをもとにしたパーソナルモデル(その作家独自の型)が有名。
- 表板にマスキアートがよく出ている上質な板を好んで使うことが特徴で、マスキアートが出ていると良く鳴ると言われており、好む演奏家も多い。
なるほど、今のクレモナでもかなり評価が高い方なのですね。
実は自分もRaffaello Di Biagioさんの作品を所有していますが、たしかに非常にニスが艷やかで工芸品のようで見ていて飽きません。
ニスが綺麗なのは写真でも伝わるかと思います、次の写真を見て頂けるとより分かるかも。
この透明感とツヤ感は素晴らしいですね。一枚板の鮮やかな杢目がより一層ニスの美しさを際立たせていますし、またニスの質感が杢目の立体感をより表現していると思います。
フィッティングも上質なボガーロ&クレメンテのものが装着されています。
スクロールの造形も見事です。木工の細工が丁寧で上手ですね。
それでは音を聴いてみましょう。
自分が数フレーズ演奏しています。
※試奏の際、Cuniot Huryの弓を使わせていただきました。こちらも名弓…!
いかがでしょうか。
自分が弾いていて思ったのは、艷やかで太く甘い音だけど明るさがあって非常に好感が持てました。健康的な印象ですが粗さはほとんど感じられず、新しい楽器ながらも落ち着きがあって演奏しやすいと感じました。
気になるお値段ですが、おおよそ2,000,000円~2,500,000円くらいの価格ゾーンです。
それでは、次の楽器に行ってみましょう。
Riccardo Antoniazzi 1904
モダンイタリーの銘器、「Riccardo Antoniazzi 1904」です。
こちらもお聞きした詳細をお伝えします。
- Riccardo Antoniazzi(リッカルド・アントニアッツィ)は1858年にクレモナで生まれ、その後ミラノに移る。
- ミラノの巨匠として知られる製作家で、Bisiachファミリーとも関係が深く、モダンイタリーの非常に重要な製作家。
- 弟にこれもまた有名なRomeo Antoniazzi(ロメオ)、 父も製作家のGaetano Antoniazzi(ガエタノ)。ファミリーの中ではRiccardoの評価が特に高いとされている。
- ニスの色は赤すぎないオレンジブラウン系統のものが多く落ち着いた風格を醸し出している。
アントニアッツィファミリー、モダン楽器が好きな方はご存知かと思います。
この楽器はニスの感じが非常に印象的でした。100年経ち落ち着いた風格ですが、古くなって出てきた渋みと元のニスの鮮やかさが同居しており独特のオーラを放っています。
裏板も非常に美しいです。この感じやっぱり素晴らしいですね。比較的ニスのダメージが無く、大事に扱われてきたのだと思います。オレンジブラウンの艶やかな光沢が素晴らしいです。
均整が取れており光沢が落ち着いたスクロールの質感はモダンイタリーならではです。
音を聴いてみましょう。
いかがでしょうか。
先程のRaffaello Di Biagioを聴いた後に聴くと、柔らかさが少し落ち着き乾いた明るさが目立ってくる印象かと思いました。弾いていて速いフレーズなどの音の立ち方が優秀、ホールで良く後ろの方まで届きそうな音だと感じました。
そういえば今回お見せいただいた楽器はどれもエヴァピラッツィのセットでしたので、弦の音の差もなくより純粋に楽器の音の比較が出来るのではないでしょうか。
お値段はおおよそ10,000,000円~15,000,000円ほどになります。流石にかなりの高級車のレベルですね。
Lorenzo Ventapane 1799
いよいよオールドの登場です。「Lorenzo Ventapane 1799」になります。
- Lorenzo Ventapane(ロレンツォ・ヴェンタパーネ)はナポリ派の製作家で、1790年頃からナポリで製作活動をしている
- かの有名なガリアーノ・ファミリーとも交流があったとされ、家族ぐるみの付き合いがあったとも言われている(諸説あり)
- 1800年から1830年が黄金期(Best period)
- 1843年頃まで製作活動を続ける
- Pasquale Ventapane(パスカル・ヴェンタパーネ)という製作家はおそらくLorenzoの息子と言われているが、情報が少なく詳細不明
いかんせんあまりに昔の時代に生きていた方なので、情報があまり無いのですが、ともかくナポリの製作家として重要人物、ということですね。
1800年から始まるBest periodの1年前に作られたこの楽器、期待できそうです。
裏板の感じなんかも圧巻ですね。
スクロールもオールドならではの感じで、少し素朴な印象を受けます。
音を出してみましょう。
いかがでしょうか。
弾いている自分が感じるのはやはりかなりの枯れ感、渋み。圧力を掛けて音を引き出さなくても自分からスムーズに歌ってくれる印象で、軽い弓圧で自然な演奏を心がけると非常にふんわりと美音が出てきます。
音が出てくるレスポンスも速く、フレーズの立ちも明瞭。説得力の有るサウンドです。
お値段は15,000,000円〜20,000,000円くらいだそうです。
おわりに
今回は東京の弦楽器専門店 IL VIOLINO MAGICO様にて3台の銘器を見せて頂き、撮影などもさせて頂きました。
こういう名のある楽器は中々お目にかかることも出来ず、実際にどういう音なのか、見た目がどんな感じなのか意外と分からないかと思います。
写真数枚と少しの演奏になりましたが、感じが伝われば幸いです。
今回撮影のご承諾を頂いたIL VIOLINO MAGICO様、重ね重ねありがとうございました!
それでは、今回の記事は以上となります。
「ヴァイオリン銘器弾き比べ!人気弦楽器専門店 IL VIOLINO MAGICO様で素晴らしい楽器を見せてもらいました【音紹介あり】」でした。