俺とパガニーニ

ヴァイオリニストの憧れ、というか、特別視されてる存在にパガニーニがいるわけだけど、俺もパガニーニには思い入れが結構あるわけで。
高校卒業する頃にはテクニック的にパガニーニの曲が射程範囲内だった。ので手を付けてみたのだが・・・

普通の難しい、テクニカルな曲とワケが違うんですよね、パガニーニ。

なんというか…普通の曲に出てこない特殊技法がバンバン出てくるわけで、それで挫折する人(パガニーニを)もかなりいるんじゃないかと思う。

そもそもパガニーニの曲が弾けても

すごい!

って言われるだけであって、音楽的にすごく素晴らしい、かつ重要なわけでもないんですよね…パガニーニ。

これがイザイとかだと音楽的にも重要で、ヴァイオリニストとしては是非勉強したほうがいい範疇になるんだけど、パガニーニは別にやらなくてもいいわけ。

 

でも俺はどうしてもパガニーニ弾きとして認められたかったので、まずカプリースを攻略することから始めた。

パガニーニの24のカプリースは一応、エチュードということになってるんだけど、普通のエチュードではなく、パガニーニの曲に出てくる変態技巧の練習って感じになっている。

 

とっつきやすいのは1番、9番、16番、24番、21番、5番あたりかな?とっつきやすいと言っても激ムズで普通のレベルじゃ歯が立たないが、とりあえず他の曲はもっと異次元なので、このあたりをコツコツこなしてみるといいと思う。俺もそうした。

 

でヒイヒイ言いながらカプリースをやってるとまあ、パガニーニの曲の雰囲気はつかめてくるかと思う。

そうするとConcerto No1あたりに手を出してもいいかなーと言う感じ。

コンチェルトの一番はまあゴリゴリの超絶技巧曲ではあるが、まだカプリースほど鬼畜では無い気がする。(3楽章以外)

3楽章はダブルストップ・ハーモニクスという変態を極めたようなテクニックが出てくるので、これを攻略するのは非常に大変なんだが…まあカプリースを何曲かこなせる人ならなんとかなると思うよ。

 

かくいう俺もダブルストップハーモニクスはどうも苦手で、3楽章は未攻略である…

 

その他にもNel Cor Piu~やGod Save King~など変態曲がたくさんあるのだが…

パガニーニは自分の曲を秘密にしたがってたみたいで、大部分の作品が残ってないんだよね。

だから作品数がそもそも少ない。ドマイナーな曲も少しは残ってるんだけど、やっぱり作曲家としてはそこまでじゃないんだよね。

 

そもそもパガニーニ弾きって、すごいとは思われると思うが、そんな尊敬されるような存在でも無いような気がする…どちらかというと変態と思われてるような…

普通のプロのヴァイオリニストも手を付けない領域なので、わざわざパガニーニ弾きになるのって真性のドMかもしれない。

 

まあでも、やっぱりパガニーニ弾きたいよね?え、弾きたくない?

この人は純粋培養されたパガニーニ弾き。パガニーニコンクールも優勝してるし。

ツィマーマンくらいになると簡単なのかもしれない。

三浦文彰も昔はよくパガニーニ弾いてたみたいだが、路線変更したのか最近は弾いてないみたい。

 

俺は最近はそんなでもないが、一時期アホみたいにパガニーニばっかり弾いていた。コンサートでもカプリース21番を良くプログラムに入れていたし、まあパガニーニ弾きと思われたかったんだが…少なくとも身内からはそういう風に思われてるかもしれない。

でも結局指の構造とか関節の柔らかさとかそういう要素も合わさって、真のパガニーニ弾きにはなれないような気がしている。練習不足といえばそうなのだけど、やっぱりパガニーニばっか一日数時間やるのは厳しい。10時間以上パガニーニばっか練習して、それで弾けるようになるかも謎だし。

中途半端にパガニーニが弾ける人くらいで落ち着いてしまってる気がする。いかんなぁ。

Josef RissinによるSergey Khachatryanのレッスン動画

以前このブログでもSergey Khachatryanを紹介している。そのSergey Khachatryanが学生時代(?)に名教師Josef Rissin(ヨーゼフ・リシン)にレッスンを受けている動画が中々良いので紹介します。




1~3の途中まではショーソンの詩曲、3の途中~5までがワックスマンのカルメン幻想曲のレッスンである。

はっきり言って上手すぎ。10代後半の頃だと思うが、もう先生を超えちゃってると思う。しかしJosef Rissin先生のアドバイスも流石という感じ。

Josef Rissinはプレイヤーとしてはそこまで有名ではないが、何枚かCDを出している。パガニーニコンクール、エリザベートコンクールで入賞歴あり。

名プレイヤーというよりも、名教師として有名である。音大でレッスンもしているようで、各地で若手演奏家向けのマスタークラスも行っているようである。

 

Sergey Khachatryanはこの頃は今よりも尖った演奏で、ちょっとE線ハイポジションなどは派手すぎる感じもする。しかしカルメンを弾き終わったときなんかは凄すぎて、ピアニストと先生が思わず笑っている。このレベルでカルメンを弾ききるのは凄い。

こういった天才系の演奏家は10代~20代の時は派手な表現をしていることが多い。私のお気に入り演奏家のLeonidas Kavakosなんかも若い時は凄い。

この動画の時は20代中盤だろうか?ヒゲが濃くあまり若い印象は受けないが、年代的にはそのくらいのはず。

ちょっと音程外れちゃてるときもあるが、まあパガニーニだし、こういう演奏も良い。若くないとできない演奏だと思う。

 

Sergey Khachatryanはなぜかレッスン動画や若いときの動画がYoutubeに多く、見ていて面白い。

Frank Peter Zimmermann(フランク・ペーター・ツィンマーマン)&Ysaye Violin Sonata No.3, Op.27-3 “Ballade”

フランク・ペーター・ツィンマーマンはドイツ出身の実力派ヴァイオリニスト。人気、実力ともにトップクラスのヴァイオリニストである。

凛々しく、端正な演奏が特徴的。テクニックもずば抜けて安定しており、聴いていて気持ちが良い。

 

このイザイの無伴奏・ヴァイオリン・ソナタ3番はイザイの曲の中でも特に演奏されることが多く、テクニック的にも難しいが、曲調的にわかりやすく、演奏会映えする曲である。バラードとも呼ばれる。

上手な音大生、高校生くらいが弾くことが結構多いと思われる。

私も高校生くらいの時に演奏会で弾いたことがあるが、結構音程が取りづらく、楽器がやや鳴りにくい曲で苦労した。最近も練習はしているのだが、やはり難曲なのは間違いない。

あまり丁寧すぎて硬い演奏になってしまうとこの曲の味は出ず、弾き飛ばしてしまうと何をやっているのかわからなくなってしまう。ある程度の勢いを保ちつつ、しっかりと鳴らして弾くのが重要だと思われる。

 

上の動画はツィンマーマンが割と若い時の録音で、音質があまり良くないが、とてもいい演奏だと思う。

ツィンマーマンはイザイの無伴奏・ソナタを全曲録音している。これが中々の名盤である。

 

バッハ: シャコンヌの冒頭の弾き方講座

バッハ:シャコンヌの冒頭部分の弾き方解説をYoutubeにupしました。

 

解説

この曲はバッハの無伴奏の中でも特別扱いされている曲で、よく教会などで演奏されているが、教会音楽ではなく舞曲がルーツなのでリズムをしっかり感じながら演奏したほうが良い。

冒頭の重音も、分けて弾く演奏スタイルもあるが、一気に鳴らしてリズムを強調する演奏も結構ありかなと思う。

指をしっかり伸ばさないと音程が悪く聞こえやすく、特に小指が注意が必要である。

バッハの曲は音程が定まると非常に鳴りやすいが、音程が悪いと途端に響きが曇ってしまうので、音程感をシビアに練習したほうが良い。

 

動画で触れていないこの後の部分は堂々と楽器を鳴らし、響きを大事に弾くと良いと思う。

超絶的な技巧を必要とする曲ではなく、基礎的な技術で弾ける曲なので、ある程度弾けるようになったらチャレンジしてみるといいかもしれない。あまり神聖な曲と思いすぎて手を出さないのももったいない(笑)

技術がバレる曲ではあるが、個人的にはベートーヴェンの方が音楽的にも難しいと思う。

Bartók Violin Concerto Nr. 2&Augustin Hadelich(オーガスティン・ハーデリッヒ)

バルトークのヴァイオリン協奏曲は2曲あり、今日紹介するのは2番の方。

 

バルトーク・ベーラはハンガリー生まれの作曲家。やや難解な作風で知られている。

ハンガリーやルーマニア等の民族音楽のエッセンスを取り入れた作風で、直感的になんか難しい感じがすると思う。少なくとも日本人の耳には馴染みがない類。

バルトークはメニューインと交友があり、彼のために無伴奏ヴァイオリンソナタを書いていたりする。

ちなみにハンガリーでは、名前の並びが日本と同じで、姓・名の順。あのフランツ・リストも、ハンガリー表記だとリスト・フィレンツになる。

 

このバイオリン協奏曲は、かなり調性や曲調がつかみにくく、分かりにくい曲だと思う。

何度も聴いていれば慣れる、、と思いきや、何度聴いても不思議な感じなので、こういうものなんだと直接理解するのが良さそう。

ソロの演奏の難易度も非常に高く、数あるヴァイオリン協奏曲の中でもトップクラスに難しい。(そもそも練習の時点で、合っているか分かり辛い)

しかし、バルトークは面白いので、是非食わず嫌いせず聴いてほしい。

 

動画のソリストはオーガスティン・ハーデリッヒ。イタリア出身、ジュリアード音楽院出身で、非常に演奏技術が高く安定している。

映像を見ると、顔が怪我してる?と思うのだが、彼は若い時に火事で全身の大やけどを負ったことがあり、そこから奇跡の復活を遂げている(らしい)

個人的な体験から言うと、本当に死にそうな体験をした事がある人はそうでない人に比べて、ある程度超然としている感じがあり、精神力が強いと思う。

 

話が逸れたが、彼はこの30台前半くらいのヴァイオリニスト達で中でも注目株だと思っている。

一つ一つのテクニックが鮮やかで冴え渡っていて、尚且つ音楽性も非常に高い。

パガニーニを弾いても音楽的で、非常に安定している。

彼はよく室内楽団と共演しているが、ヴァイオリンソロと言うより、自分の音を室内楽の一部としてアンサンブルさせているのが面白いと思う。音楽的にも優れている。

 

彼のCDは無伴奏曲集が凄い。

 

最近この感じの記事が多いですが、書いてて面白いので続けようと思います。

Bach Chaconne For Solo Violin(バッハのシャコンヌ)&ジェイムズ・エーネス(James Ehnes)

 

ヨハン・ゼバスティアン・バッハのシャコンヌは、ヴァイオリンの名曲の中でも最も有名な曲だろう。

この有名なシャコンヌはバッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ・パルティータ集の、パルティータ二番の最終楽章にあたる。

パルティータ二番は全5曲で、

  1. Allemande(アルマンド)
  2. Courante(クーラント)
  3. Sarabande(サラバンド)
  4. Gigue(ジーグ)
  5. Chaconne(シャコンヌ)

という構成。シャコンヌが有名かつ名曲過ぎて、他の曲がおまけっぽくなってしまっている。(他の曲も普通に考えれば名曲)

 

このバッハのシャコンヌだが、15分位無伴奏で弾き続けなければならないし、結構テクニック的にも難しい曲なので、音大生や若いプロが取り組むと結構苦労する。

音大生がこんな名曲をやるのか?と思われがちだが、実は音楽的には分かりやすいので、ある程度上手い学生は結構弾いている。

ベートーヴェンのクロイツェル・ソナタなどは奏者が若いと雰囲気が出ないが、バッハはそうでもない。

 

聴いてると心が洗われる感じというか、神聖な感じがあるのはバッハが教会音楽のプロフェッショナルだからだろうか。このシャコンヌ自体は特に神聖な曲ではない。

 

バッハはベートーヴェンやモーツァルトと違い、教会や宮廷の楽師として働いていたため、生涯に渡って安定した収入があった。

モーツァルトは特にひらめきや天啓を得て曲を書いているイメージがあるが、バッハは計算して曲を書いているイメージ。

バッハはどのジャンルでもかなりの数の名曲を生み出しているが、やはり卓越した作曲技法の賜物なのだろう。

 

このバッハのシャコンヌは、楽譜に書いてある通りにしっかり弾けばちゃんと音楽になる。楽器も鳴りやすく、いかにバッハの作曲技法が卓越しているかと言う事が分かる。

 

 

この動画のソリストは、カナダ出身のジェイムズ・エーネス(James Ehnes)

目立ったコンクール入賞歴などがなく、日本ではあまり有名ではないが、世界レベルで超一流のソリストである。

動画を見れば一目瞭然だが、テクニックが安定しすぎていると思う。何を弾いてもこんな感じで上手すぎるのだ。

パガニーニを弾いても全く危なげがない。カプリース24番でこんな簡単そうに見えるのは彼以外あまりいないのではないだろうか?

女性で言うとヒラリー・ハーン、ユリア・フィッシャー辺りがそういう感じだが、彼女らよりエーネスのほうが安定度は高いと思う。

 

バッツィーニの妖精の踊り。この曲は超難曲だが、上手すぎてあまり難しそうに見えない。(動画の最後に大きなノイズ音があるため注意)

 

エーネスの無伴奏ヴァイオリンソナタ・パルティータ集はかなりの名盤。

パガニーニのカプリース全集も良い。この難しい曲集で、ここまでハイレベルな録音は珍しい。(五嶋みどりクラス)

Benjamin Britten Violin Concerto Op. 15&三浦文彰(Fumiaki Miura)

 

ベンジャミン・ブリテンのヴァイオリン協奏曲は、結構マイナーな曲だが、最近演奏されることが多い。

1楽章はリズムが特徴的で、活き活きとした前半部と、不思議な感じの後半に別れている。楽譜を見てみると、思った以上に難しい。

2楽章はVivaceで疾走感がある。途中でCadenzaに入り、Ataccaで3楽章に突入する。3楽章は1~2楽章と比べるとややパッとしない感じ。

 

ベンジャミン・ブリテンは、日本ではややマイナーな部類だが、聴いてみると中々良い曲がある。名前からして想像できるがイギリス人である。

CDでお勧めなのは断然ジャニーヌ・ヤンセンの演奏。

 

動画のソリストは三浦文彰という若手のヴァイオリニスト。大河ドラマ真田丸のオープニングテーマのソロを弾いたり、ルックスが良かったりして、今とても人気がある。

彼の音色は結構独特で、ちょっと昔の名人っぽい?音がしている。テクニックも卓越しているが、どちらかと言うと歌うようなフレーズが上手い。

チャイコフスキーの協奏曲などはかなり得意だと思われる。(Hannoverのコンクールで優勝した時の曲もチャイコフスキーの協奏曲だった)