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ヴァイオリンの弦を数種類レビューしてみる その2

こんにちは、Yuuki(Yuuki_st57)です。

以前も記事で書いたヴァイオリン弦のレビューです。

新発売の弦なども試してみたりしてるのと、以前と印象が変わったものもあるので新しく記事にしてみようと思った感じです。

張ってる楽器は基本的に古い、オールドに近い楽器で、音色は柔らかくリッチ傾向ですが、明るさもあるという感じです。

オリーブ(ピラストロ)

以前合わなかった印象があったオリーブ。

しばらく離れていたのですが、今年の2月に行ったコンサートの前後で張ってみました。

本番ではGDEオリーブ、Aがペーターインフェルドという組み合わせです。

やはり鳴らしにくさ、気持ちよくない感じがあるので、自分かもしくは楽器との相性が良くない感じではあるのですが、録音を聴いてみるとすごく良い感じなんですよね。

乾いた太い音だけど、イタリアの青空のような明るさも持ち合わせている感じ。

しっとり甘い音というよりは、渋みの有る乾いた音で、音量もあります。

鳴らしにくさ、弾いてて気持ちの良くない感じというのはなんか振動が不規則な感じがして、うまく響かない感じがあるのですが、実際の音はとても良い…という不思議な印象。

そういえば組み合わせはGは普通のゲージ、Dはゴールド/アルミではなくシルバー巻。このシルバー巻がいい感じで、アルミ巻きにありがちな巻線のほつれが見られなく寿命が長いです。

A線は湿度の影響を受けやすく、音がひっくり返ったり、軋む感じが強く出てしまったので、本番はナイロンのペーターインフェルドにしたのですが、音色自体は良いので、できれば全弦セットで使いたい所です。

値段も高いし、扱いにくい、弾いてて気持ちよくない、という感じなのですが、どうしてもこの高級感ある音はたまに欲しくなります。ということで今は1週間張ったものを外してチューブに入れストックしてあります。

これから梅雨、夏が来るので温存して、冬になったらまた張ってみようかなと思います。

ドミナント(トマスティーク・インフェルド)

最近張ってませんが、良さを再認識した弦。

張ってすぐの金属的なシャリシャリ音、寿命の短さはネックですが、本当に美味しい期間はいい音がします。

大体3日〜2週間位が良い音色のピークで、それを超えると徐々に神経質な音になってきてしまうので、ある意味素人向けでない、プロ仕様の弦とも言えると思います。

雑味を持っている弦ではあるのですが、その雑味がいい味をだして、遠鳴りする大きな音を出してくれます。

合う楽器なら1ヶ月ごとに張り替えられればもうそれで良いんじゃないかと思います。

合わない楽器もありますが、まずドミナントが合う方向に調整すべき、という意見もあります。

ハイエンド弦が増えたことで結構リーズナブルに感じますが、音はとっても良いので迷ったら1ヶ月毎にドミナントを張ってみましょう。

E線はゴールドブラカット、ゴールド、プリムリサ辺りを張ったほうが良いかと思います。

エヴァピラッツィ(ピラストロ)

この弦はとても人気があり良い音がするのですがアンチも多いです…

まず傾向としては非常に張力が強く、張りのある大きな音がします。

ヴィブラートをしっかりかけると太く輝かしい音が出るため、ソリストに大変人気があります。

クリアさはもちろんあるのですが、深み、豊かさも持ち合わせているため、表現力もあります。

ただ、張りが非常に強い弦なのでオールドのデリケートな楽器に張るのは良くない、という意見。それとそば鳴り傾向で音が飛ばない、という意見があります。

確かに、オールド楽器は表板の駒の部分が沈んでしまっている楽器もあり、この弦が原因ということもあるそうです。

楽器を痛める危険性がある、というのはあまり良くない印象を受けますよね。

新作に張るのは殆ど問題ないと思います。ただ、新作にエヴァピラッツィの音というのはヴァイオリンの本当のいい音、という所からは少し離れてしまうんじゃないかな、とも思います。

というわけでこの弦はそういうマイナスイメージもあり、あと値段に対して寿命も短いので、あまり張ったことはありません。協奏曲を弾く機会があれば張ってみようかな、とは思います。

エヴァピラッツィ・ゴールド(ピラストロ)

前述のエヴァピラッツィの改良版?です。

改良版といっても傾向が異なり、より柔らかく、しっとり豊かな音に寄せたという印象です。

音量はエヴァピラッツィと同じくらいですが、かなり柔らかくしっとり感があります。

張力も少しエヴァピラッツィよりは弱いです。がペーターインフェルドなどと比べれば強い。

使いやすくしたオリーブと言った感じでしょうか。ガット弦の豊かな感じと似た印象があり、個人的に結構好きな弦です。

値段は非常に高いですが、そこそこ長持ち(4ヶ月〜半年程度)なため、コスパが悪いとはあまり感じないです。

オールド楽器に張るのもこのくらいなら大丈夫かなと思います。かなりおすすめの弦ですね。

ロンド(トマスティーク・インフェルド)

今張ってる弦です。といってもまだ1週間も経っていないのですが…

結論から言うと、個人的にナイロン弦で一番良いのでは無いかな、と思っています。

テンション感はかなり強め、特にE線はハイポジションでかなり負担を感じます。

張力的にはエヴァピラッツィに近いですが、きつい感じはありません。ペーターインフェルドの改良版ということですが、ペーターより強いかも。

音量、音質の豊かさ、指のニュアンスについてくる感じが非常に感じられて、ブリリアントで輝かしい音を持ちながらリッチな太い鳴りもあります。

圧力をかけたときの底鳴り感が凄いです。迫力があり鬼気迫る音が出ます。

まだ1週間なので寿命はわかりませんが、ペーターインフェルドの改良ということなら半年は持ちそうです。(ペーターは異常に寿命が長い!)値段はかなり高額ですが、半年持てばまあ許せる、というくらいいい音です。

今のコロナウイルスの自粛期間は特別にネット販売されているようですが、本来工房でしか買えない弦らしく、値引きもできず2万円近くするそうです…

消耗品の弦に2万円!と思ってしまいますね…

今の期間はいろいろなショップで特別価格で販売してるので1セット買ってみてはいかがでしょうか。俺はあまりに気に入ったのでもう一セット追加で注文しました…

TIというドミナント改良版の弦もあるのでそちらも試してみたいところです。そちらは定価15000円ほどということです(高い!)

ちなみに、著名ソリストに結構売り込んでるそうで、レオニダス・カヴァコス、ジュリアン・ラクリン、クリスティアン・テツラフなどの大物ヴァイオリニストの方々も張っている様です。

ペーターインフェルド(トマスティーク・インフェルド)

音質、音量、表現力、寿命、どれをとっても素晴らしい弦です。

クリアで太くどっしりとした鳴りが特徴的。GD辺りが特に気持ち良いです。

弾きやすさ、鳴らしやすさもあり、楽器が1ランク上がったように感じられるかと思います。

前述のロンドはこれにさらに輝かしさを増した感じですが、落ち着いた音が好きな人ならペーターの方が良いかも。ロンドが定価販売に戻ればペーターの方がコスパは良いと思います。

それとこの弦、異常に寿命が長いです。というか死なない。1年間張りっぱなしでも大丈夫なのではないでしょうか…

E線はセットの物よりもPIRASTROゴールドあたりに変えるのが定番ですね。(ジェイムズ・エーネス愛用の組み合わせ)

今一番おすすめの弦と言えるかもしれません。

高い弦が増えた!

昔はオリーブがダントツで値段が高く、エヴァピラッツィが出たときも随分高価なナイロン弦が出たなという感じだったみたいですが、最近本当高い弦増えましたよね。

エヴァピラッツィゴールドも割引されても14000円くらいするし、ロンドは20000円…ペーターインフェルドも9000円と普通に考えれば高いですが、比べると安く感じてしまいます。

ただ、ハイエンドな弦はその分音の高級感、寿命の長さ、実用的な大音量といった要素を持ってる印象です。

ドミナント一強の時代は遥か昔に終わり、エヴァピラッツィが強い時代を過ぎ、最近のソロを見てるとエヴァピラッツィゴールド、ロンド、ペーターインフェルド辺りを張ってる人が多いです。

あと気になるのはTIと、テールピース側の糸が黒い、おそらくトマスティークの試作品。結構ソリストが張ってて気になるんですよね。

ロンドはややソリスティックすぎる感じもあるので、TIをそのうち試してみたいと思います。

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