オーガスティン・ハーデリッヒ(Augustin Hadelich)氏は1984年イタリア生まれのヴァイオリニストで、素晴らしいテクニックを持ったソリストとして非常に高い人気があります。
非常に鮮やかなテクニックと多彩な表現で素晴らしい演奏をする彼の使用楽器、機材などを解説します。
使用楽器
1683 “ex-Gingold”、また1723 Kiesewetter Stradivariを経て、現在1744年製の “Leduc / Szeryng” Guarneri del Gesuを現在貸与され使用しています。
彼の明るく張りのある美音はキャリアの多くの部分をストラディヴァリ、グァルネリなどの銘器を使って奏でられています。
弓はPaul Simon(フランスの名弓Pierre Simonのスペル違いと思われますが詳細不明)の弓を使用しており、67gあるかなり重い弓だそうです。彼はこの弓のバランスと音色がとても気に入ってるそうです。
楽器以外の機材
弦はピラストロのエヴァピラッツィをADG線、E線のみゴールドの強いゲージを張っています。
楽器がオールドで柔らかい温かい音なので、明るくホールで飛ぶ音量のためにエヴァピラッツィを張ってるそう。
松脂はMotrya Goldという金粉入りの松脂を使用しています。
肩当てはヴァイオリンを初めて以来使用したことが無く、シャツやスーツの肩の部分にスポンジを入れてクッションにしているようです。
彼は綺麗な肩当て無し奏法で演奏されているので、肩当てを使わないフォームの参考になりますね。
ケースはGEWAのIDEA、またBAMのHightechのオブロング(角形)を所有しており(2019年のインタビューだとどちらが良いか決めかねてるそうですが、最近はGEWAの映像が多いですね)クッションカバーで包んで運搬しているそう。なんでも飛行機移動の際に急着陸などの衝撃が心配だそうでクッションで包んでるそう。世界中を飛び回る売れっ子ソリストで非常に高額な楽器を運んでるため色々苦労がありそうですね…
奏法
肩当てを使わず、足をやや前に出したシルエットが特徴的です。
体を柔らかく使って柔軟に弾いてる印象がありますが無駄な動きは少なく、エレガントな奏法です。
要所要所でポルタメントやアクセントを強調するため、非常にソリスティックで格好いい感じの演奏をされています。
弓の保持はフランコ・ベルギー派のスタイルで正統派です。
音程やテクニックは完璧、隙のない演奏が素晴らしいです。